東野圭吾『真夏の方程式』

ガリレオのシリーズは最初の短編2冊と『容疑者Xの献身』は読んでまして、通常ミステリではまず使わない(使えない?)専門的な物理トリックを使った短編のシリーズも好きですし、『容疑者Xの献身』もわかりやすく感動した人です。あとテレビのドラマも某国の動画サイトに上がってるのでなんかまとめて全部観ました(これって月9なのね。月9ドラマで全部観たのこれだけかも!?)。とか言って『聖女の救済』と『ガリレオの苦悩』は読んでないんですけど。いや、なんかタイミング逸しちゃって。で、そろそろ読もうと思ってたんですが、東野圭吾のサイクルからすると2冊とも今年文庫化じゃないですか。ってとこででたこの長編3作目。読もうかどうか迷ってたんですが、なんとなくブックオフで綺麗なの見つけちゃったんで、2冊飛ばして読んじゃいました。
夏休みにかつて観光で栄えた海辺の町。そこに家庭の事情であずけられた少年と、偶然出会った湯川、そこに起こる事件、という話。前半は綺麗な海辺の風景が浮かぶような話。湯川が少年に物理を教える場面とかもわりと好きだし、事件が起きてからもなんか静かに話が進む感じで。湯川と草薙、内海が直接会わないこともあるけど、物理系の話とも『容疑者Xの献身』とも違う系の話しかなぁ、と思ってたんですね。
ところが(というところで、ここからはこの本に関するものに加えて『容疑者Xの献身』に関する多少のネタバレが入っています…的なこと書いといた方が良いのかしら?)、ある場面から話の様相が一変。遡ると『容疑者Xの献身』は追い込まれてやむを得ない事情で殺人を起こしてしまった母娘、それを偶然知ってしまった男、その母娘を助けようとあらゆる手を尽くし、最後には罪をかぶろうとする。しかし、母親が自首することでその献身は報われない。という話だったんですが、この『真夏の方程式』、“もし、そのとき母親が男の献身を受け入れ、罰を受けずに生活を続けたら”を書いた話でした。もちろん前半8割くらいはそんなことおくびにも出さず進むストーリーなのですが、わかりやすく“献身”という言葉が出てくるんですね。すると、そのワードを挟んで怒涛のごとく、その後母娘がどうなったかが描かれていく感じで。
母娘は見た目的には田舎町で静かな暮らしをしてはいるものの、心の奥にはそのときの事が重くのしかかっていて。また、男は罪をかぶることで母娘を助けることはできたものの、刑期を終えた後も自らがその母娘と幸せになることはない。『容疑者Xの献身』は誰に思い入れて見ていても悲しい結末になる話でしたが、じゃあそれが予定通りに進んだところで、幸せになれたのかい?と書きたかった話なんだなぁ。とそんな感じでした。うーん、ただ一点腑に落ちないのが。少年が当事者的に事件に巻き込まれる点。あそこで、少年が当事者になることないよなぁ、というのがちょっと。最初が少年視点で始まったことから最後も絡めないとと言うことかもしれないんだけどね。あ、それとも、この次の次の話で“この少年が大人になったら”的なところが描かれるか??


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