奥田英朗『純平、考え直せ』

奥田英朗の作品は、6年前に『イン・ザ・プール』を映画で観て、そこから伊良部ちゃんのシリーズ3冊を読み、そこから派生してたぶん10冊程度は読んでるんですけど(その辺もいつか遡って書きたいんだが…)、読んだ中では伊良部ちゃんのシリーズ、それから『ガール』『マドンナ』なんかの女性主人公もの、『最悪』『邪魔』『無理』などの複数の主人公がどんどん悪循環にはまっていく系のものとで、それぞれ“これ全部同じ作家の作品か?”ってくらい作風が違ってて、ま、どれも好きなんで大量に読み漁ってるんですけど。
で、この『純平、考え直せ』はチンピラが主人公ということで、とりあえず『最悪』系の作品かなぁと思って読み始めたんですね。内容はチンピラの純平が3日後に鉄砲玉として対立する組の幹部を殺ることを命じられ、その3日間でいろいろな人と出会ってそこで…という話。私、湊かなえの作品も好きで全部読んでて、『告白』からの流れの作品は“いい人が一人も出てこない話”と称して人に紹介してるんですけど、この話はその真逆。ヤクザものの話なのに、いい人しか出てこない作品*1
娑婆で与えられた3日間の猶予で、ナンパしたOL、退官した大学教授、オカマの客引き、ヤクザと繋がる刑事…などなどいろいろな人と出会い、それぞれの人の良い一面を目にしていく。中には純平の3日後の鉄砲玉としての使命を止める人もいる。そんな中どうするのか、ということで、こっちのほうの結末を期待しちゃうと少し消化不良に感じるかもしれないけど、様々な人間ドラマに出会う作品とすれば“おぉこんな人にもこんな一面が”の連続で面白い。ってか、これで結末をちゃんと時系列追っちゃうと純平は鉄砲玉を成功したあと10数年のお勤めの後に娑婆に戻って組幹部として迎えられて…って、ヤクザのシステムを肯定する作品にせざるを得ないから難しいのかもね。それくらい、まず自分が経験することのない“チンピラ”である純平に感情移入できてしまう、なかなか面白い作品でした、はい。


俺内ランキング(2011.6.11現在)

  1. 早稲田アカデミーの広告の笠井海夏子(芸能人)
  2. 『大人と本気のドッチボールだ〜』:『IPPONグランプリ2011』の『写真で一言(マラドーナ)』での堀内健(名言)
  3. 純平、考え直せ』:奥田英朗(書籍)
  4. 土佐の素材ゆずドリンク100:高知アイス(飲料)*2
  5. 『壁の向うから「負けたよ」と聞こえる』:『IPPONグランプリ2011』の『このストレッチ1年続けるとどうなる?』での又吉直樹(名言)
  6. ラーメン女子大生・本谷亜紀(芸能人?)
  7. すた丼-飯増し:伝説のすた丼(食品)
  8. 『ライオンと休暇』:宍戸留美『CHERBOURG→BRIGHTON』より(音楽)
  9. 『なんとか言ってみろ「ゑ!」』:『IPPONグランプリ2011』の『口喧嘩の最中相手に「古っ!」と言わせて下さい』でのバカリズム(名言)
  10. 平田良介2試合連続サヨナラホームラン:中日×千葉ロッテ3回戦(プロ野球

次点:なっちゃんのCMでキャッチボールをする三吉彩花(芸能人)

*1:いや、そりゃ端役の名も無き敵ヤクザとかは悪いだけの人もいるけどさ

*2:ちょっと高いけどね…