岩崎夏海『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』

一応流行りですからね。話題がひと山越えて“いまになって手つけたらもう負け”な時期に来ちゃってるって話もありますけど、そこはね。
ということで、ま、基本はタイトルがすべての実験企画ですから。一応、作者はきちんとビジネス書としてこの『マネジメント』を読んで影響を受けているやの話も聞きますけど。最近書店なんかだとビジネス書扱いで平積みされてたりしますけど、ビジネス書として読んじゃうのは違うよね。(これで興味を持って、実際に『マネジメント』に手をつけるというのは有りだと思いますけど)中身的には“『マネジメント』のあの章を野球部のココに置き換えると…”をやって“そう来るかぁ”を楽しむものだと思いますので、ね。だから、実際は、まず『マネジメント』を読んどいて、その上で読むのが一番楽しめるのかも知れませんけど、『マネジメント』ねぇ。。。一応、学校の教科書だか副読本だか論文の参考だかで手に取ったことはあった気もするけど、なーんも覚えてないし。
ということで、マネジメント知識ほぼゼロで*1臨んだこの本ですが、いや、基本この企画が面白いですから、面白いですよ。野球部の“顧客は誰か”を考えてって、親や学校や東京都やはては高野連から野球ファンに広がって、その上で部員自身に戻ってくるとことか。学問テイストで考えたこと無いジャンルを学問的に語るのは(最初にやったもん勝ちですけど)面白いですよ。“野球部のイノベーションに取り組む”とか言葉見るだけでイイですもの。文体が小説っぽくなく淡々としてるのが抵抗あるって人もいますけど、むしろそれがいいんだと思いますよ。学問“風”でね。
で、まぁ、この辺までが一般的なこの本の魅力で面白いんだと思うんですが、すみません、私もう一点全然関係ないところで興味持って読んでしまったクチでして。
この物語。舞台は都立程久保高校という学校なんですけど。設定が西東京の都立校で、進学校のため野球部も毎年良くて3回戦どまり*2という設定だったり、その他細かい学校の描写が自分の出身校に激似でして。“これうちの高校なんじゃないかしら”と思ってみていたもので。いや、実際あとから調べたら作者の出身が日野市で“程久保”がそっちの方に実在する地名ですから、第三学区のうちの母校が舞台なはずはないんですけどね。もう、そのつもりで読んでたもんだから、すべての情景が目に浮かぶように読めてしまい、最後は勝手にうちの高校が甲子園出てくれてかなり嬉しかったです。すみません、変な観点で読んで勝手に評価してて。でも、ラストで程高キャプテンの二階が言うセリフとかも、うちの学校の奴とかいいそうなんだよね、わりと。

*1:いや、一応マーケティング系の勉強はしてましたから、その辺の下地はゼロではないですよ、ゼロでは…。

*2:ま、都立高自体国立とか城東とかほんの一握りしか甲子園出てませんから、この辺はすべての都立校当てはまる部分かもしれませんが…