タ・プローム

今日最初に訪れるのはタ・プローム。この後に向かうアンコール・トムとかと近い時代の仏教僧院なんですけど、ここの魅力はなんと言っても遺跡を覆い隠すように繁ったガジュマルの樹などの遺跡として朽ちていく部分をも発見された当時のまま残していること。遺跡を見る目は人によって違うもので、建物の“古さのわりに凄ぇ”ってのを見る人もいれば、彫刻とかからその歴史的意味とかを考える人もいるでしょうが、廃墟好きな人間としてはどーしても“ものすげぇ超廃墟”としてまず見てしまうため、この自然が造りだした人工物という不思議さを最大限に残してあるタ・プロームは、実は今回回る中で一番興味のあった遺跡だったりします。
で、このタ・プローム。日本向けのガイドブックや紹介しているサイトなんかでは『天空の城ラピュタ』のモデルになったと言われている場所ランキングinカンボジアで、ベンメリアに次ぐ第2位くらいの紹介のされ方をしている所でして。ってか、それってもうほぼベンメリアの方だよ!モデルは*1。さらに調べると世界各国で、んなこと言われてる場所もいっぱいあるそうで。要は遺跡的建物を植物が侵食してるとみんなそう見えちゃうのね。ちなみに、私もこの映画は流行るんじゃないかなぁとの読みで既に観ております。去年…。遅ぇよ!*2。というわけで、いざ東塔門から中へ。

門といっても倒壊してますけどね。いや、コレがいい味なんです。期待をさせます。この辺は物売りの子供たちが絵葉書を買えと近寄ってくるのですが*3、ここで商売を覚えちゃうと学校に戻らなくなってしまうので、買ってはいけないのだとか。“アスパルテームが入ってるから買ってはいけないダイエットコーク!”みたいなのは昔なんかの本で流行ったけど、売り手を勉強させるために買ってはいけないというのは日本では無かったな。ま、元々絵葉書買う気は無いんですけど。んな感じで進んでいった先に見えてきました東門。

いきなり、遺跡の上から木が生えてます。ところどころ木材で補強されているところも見えますが、あくまでも本当に崩れ落ちないための補強で、もう倒壊寸前って感じの危うさを残してます。そして、そこをくぐるといきなり一番有名なこの場所。

もう完全にガジュマルが支配してます。そこから先も完全に植物が支配する世界。いつ押し潰されてもおかしくない状態です。
 
そんな遺跡の中も入ることができる場所があるんですが、下の写真の場所。天井の開いている2m四方くらいのスペースなんですけど、ここの壁に背をつけて胸を思いっきり“ん〜っ!ん〜っ!ん〜〜”と叩くとこのスペース全体にエコーが響くと言う謎の場所。なんと。私が戯れにベトナムに輸出しようとしていたパッションネタが、12世紀のカンボジアで既に行われていたとは(当時はカンボジアとは言わないけど)。で、訪れる観光客はこぞってココで“ん〜っ!ん〜っ!”とやってエコーを響かせていたんですけど、私がやるとどうも響きが悪かったです。なんだ?プロテインが足りないのか?ちなみに、このエコーポイント、この後に行くアンコール・ワットにも同様のゾーンがあるんですけど、そっちはこのエコーの響き方で王への忠誠を計っていたとか。当時だったらその場で殺されてたな、俺。

その後も苔むした感じの遺跡や、毛細血管のように張り巡らされたガジュマルの根に支配された中をひたすら散策。ってか、この空間にいるってだけでもう、涙と一緒にすわりしょんべんしちゃうくらいの感動です。 
 
最後に通り抜けた西門まで鬱蒼と繁る木々に少し太陽の光がさえぎられる中、苔むしていい味出した朽ちっぷり。1発目からかなり名残惜しいままタ・プロームをあとにしたのでした。

*1:ただ、ベンメリアって地雷の撤去作業とかの関係で観光客が見に行くようになったのも結構最近みたいだし、それがあの頃の映画に影響与えてるかと考えるとちょっと疑問だけどね

*2:となりのトトロ』はこの間テレビでやったのではじめてみました。だから遅ぇって。

*3:写真にもひとり写ってるね