中島らも『ガダラの豚〈1〉』
以前からいろんなところで薦められてるし(松尾さんの本でも書いてあった気が…)、自分でも読みたかった本なんだけど、なんか先送りになってた*1。で、読み始めた後で書店に行ったら、今年の集英社文庫の夏フェアの対象になってんのね。なんか、それで読み始めた奴みたい、俺(でも、各出版社の“文庫夏の100冊”みたいな奴に乗せられて読むのも好きなんですけどね、私)。
以前に“ドラマの『TRICK』の根底には泡坂妻夫があるかも”って書いたことがあったけど、予想通りこの本でも同じことを考える。ってか、むしろこっちだな。大学教授とマジシャンがトリックを暴いて、宗教団体から人を救い出すって導入は全く一緒だし。話の中で最初に暴いたトリックは、正に『TRICK』で母之泉のビッグマザーが使ったトリックだしね。書かれた時期は、当然『ガダラの豚』の方が先なわけで、『TRICK』ってよく金田一少年みたいな騒ぎにならなかったな(なってたのかな?)。堤幸彦はドラマ版金田一の演出もやってたからその辺ちゃんと考えてやってたとかか。たしかに『TRICK』はそこから笑いの方向に持っていって、雰囲気を変えていったので、私的にはちゃんとそれぞれに楽しめてます。
んで、この『ガダラの豚』の方は、そこからトリック暴きよりは新興宗教団体のマインドコントロールの手法と、そこからの信者の奪還に中心が置かれている感じ。ここで使われる団体の手法って、客観的に見てると自己啓発セミナーだったりなんかの手法によく似ていて、そこで自分が“すばらしい”とか“気持ちいい”と感じたことをイコールこの団体の教祖のパワーだって感覚にシフトさせてって信じさせていくというのがよくわかって非常に面白いんだけど、これ当事者だったら信じちゃのかな、という感じも。ま、トリック暴きの方を中心にしちゃうと、マジシャンのミスターミラクルの方が主人公になっちゃいますからね。ま、個人的にはこのミスターミラクル思い入れで読んでしまいましたけど(ラストの奇跡暴きは完全にミラクルの独壇場たったしね)。はい、期待通り面白かったです。思いっきり〈2〉を続けて読まなきゃしょうがない終わりかただし。よかったよ、3巻まとめて買ってて。
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