クーロン黒沢『裏アジア紀行』
怪しいアジア関連の本でお馴染みの著者が、当時移り住んだプノンペンを中心にアジアで出会った怪しい人物や裏のお仕事、そして呆れるくらいに貪欲でおバカな現地の生活を書いたドキュメント。ちょっと前に読んだ『恋するように旅をして』が、同じアジアでもすっごくスローに何事もなく流れる時間を書いていたのとは真逆。1分たりとも気を抜けないアジアの裏面が書かれています。
お約束の風俗ネタやドラッグネタなんかもありますし、カンボジアだけでなく中国やミャンマーやはてはチベットまで足をのばしているんですが(チベットに行ってまでエログッズ買ったりしてますけど…)、やはりプノンペンでの日常、ことある毎にぼったくってやろうと考えているカンボジアの人々との攻防が面白い。安く売りつけられたエアコンは全く機能しない上に火花を噴いて燃えあがるし、部屋自体も入った後で“水なんて出るわけないじゃん”と言われそのためにまた工事代をとられるわ、電気代がかさむと思ったら配線が大家の家に分岐されていて電気を盗まれているわ、はては当たり前に夜中には人が侵入していたりするという、まさにこの著者の知人がカンボジアで出した店の壁に貼ってあると言う言葉『誰も信用するな!』の世界。ま、そう言う怪しいモノにわざと首をツッこむ人だから面白エピソードになるんだけどね。
また、旅行者が次々に盗難にあうホテルで、やはり荷物全て盗まれてしまった知人と普通泣き寝入りするしかないところを、犯人探しをする件はかなり秀逸。最後に犯人を追い詰めて、その泊まってる部屋に乗り込むところで“何の権利で…”と言われたホテルのマネージャーが普通に警察手帳を持ってるという(要は警察官の権利を金で買って持ってる)この国のでたらめさが*1いい感じでした。ちなみに、犯人も日本人だったんだけどね。海外旅行で騙されたり詐欺されたりする話とかよく聴きますけど、実は騙してる方も日本人だったりすることも往々にあることがこの本を読むとよくわかります。はい。ここのところ、いろいろな視点からのアジア本を見比べていますが、裏も表もそれはそれで魅力的な点が多々あることを再認識しました。
あれ。そういえば、この本を買ったのは、ひとえに表紙の九龍城(おそらく)の写真の格好良さでの衝動買いだったんだけど、九龍城の話しって、ほっとんど出てこなかったな…。
俺内ランキング(2006.2.17現在)
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*1:でたらめ?