秦建日子『推理小説』

いや、書店のお勧めコメント見て去年の年末に買っていて読んでなかった本でね。決してドラマが始まって話題になってるからって読んだわけでは決して無いのであってね…、って文庫になってから買ってるんじゃ同じだって。ま、そんなわけで非常にミーハーっぽくなってしまったんですが、読み終わりました。ってか、延べ2時間くらいで読めちゃう本なのね、これ*1
連続殺人の後で、その詳細が書かれた小説の上巻が送られてきて“事件を防ぎたければ、続きを入札せよ”という要求が入るというミステリ。はい、基本的に劇場型犯罪モノ好きなんで、この辺で飛びつきました。ストーリーの途中で、推理小説のセオリーを説明し、これを破ると読者から批判を浴びると記述しながら、あえてこの小説はセオリーを守らずアンフェアに展開すると宣言して進む。手法としては、ホラー映画のセオリーを説明して“そんなストーリーはありきたりだ”と言いながら、きちんとお約束に嵌っていく『スクリーム』のような感じかな。
著者がドラマのシナリオライターという事で、完成されたストーリーと言うよりはキャラクターや展開が派手で要所要所にちゃんとヤマがある感じ。刑事の雪平夏見と、最終的に犯人になる人物のキャラクターは魅力的である。特に、この犯人のラストのシーンは、確かにミステリとして読んでいくと“なんだこりゃ?”かもしれないけど、ドラマの最終回として想像してみると許される演出になるのかも。やはり、ドラマ前提で書かれた話なのかな。あ、演出と言う意味では、ストーリーに出てくる“栞”と同じデザインの栞を挟んで売る演出は結構好きです。
ちなみに、読み終わってみて、結局1度も見た事のないドラマの方のサイトを見てみた。そしたら、まだ2回か3回目くらいなんだけど、この小説に忠実に行くとすると、あと1回くらいで終わっちゃいそうな勢いなんだよね。これって、ドラマ版は続きがあるって事?。それとも、小説の方でも栞の裏で続編を匂わせるフレーズが書かれていたけど、その続編が先に展開されるって事なのか。

*1:ちなみに、Amazonでこの本を検索すると、“この本を買った人はこんな本も買っています”が『白夜行』『神はサイコロを振らない』『けものみち』って!本選びの基準がわかり易すぎ。ってか、そういう読み方って理解できないけど、なんなんだろ。見てる人より先に知っときたいって事?