『THE 有頂天ホテル』

こんな公開してすぐに観に行く事って珍しいんですけどね。たまたま買い物に行く予定の所に併設されてるシネコンのサイト見てたら、まだ席が取れそうだったんで取っちゃったんです。というわけで、いまさら説明するまでもない三谷幸喜監督作品の3作目です。新年を前にした大晦日の最後の2時間にホテルアバンティで起こる数々の出来事を、リアルタイムで描いた作品。『ラジオの時間』や『みんなのいえ』の様に“ラジオドラマを作る”や“家を建てる”といった芯になるストーリーがあるわけではなく(カウントダウンパーティに向けてストーリーは進んでいくのだが、決してキャスト全員の中心にある出来事ではない)、これだけの出演者をかかえる群集劇という事で、ごちゃごちゃしちゃってまとまり無くなってしまうんではないかという気がしてしまっていた。さらに、キャストを見ると歌手(または歌手志望)が3人、自殺したい人も2人、さらに久々の再開も3組くらいあって、あちこちで話が被っちゃうんじゃないの?的な事も考えたりして。
で、実際観ての感想なんですが、そんな危惧は無用でしたね。あれだけいるキャストも皆がそれぞれ意味があって、誰一人必要の無い人がいないし。ストーリーはホテルのあちこちで同時多発的に起きるのですが、それぞれが微妙にリンクしあって、影響しあって、で、最後のカウントダウンパーティーではそれぞれにハッピーエンドを迎えるというあたり、なんか出来すぎ。幸せの人形が繋がっていくあたりは、ま、結構話の中心として考えられてる感じもしますけど、それ以外の所で、例えば盗まれた服のくだりだったり、ダブダブがバンダナをつけられる所が“そこで繋がってくるかぁ”ってのがあるのが痺れます。ちなみに、リンクで言えば、みんなのいえからのリンクであの2人が食事をしてましたね。あと、舞台となっているホテルはホテルアバンティですが、武藤田が場所を変えようとしていたホテルの名前で、かの古畑任三郎で何度と無く登場しているバリトンホテルの名前も。一部に出るのではとの期待もあった“赤い洗面器の話”は無かったものの、ちゃんとコアなファン向けの小ネタも入ってるところが良いです(っていうか、戸田さんが舞台挨拶で“何度もみてはじめてわかる…”的な事いってたので、まだ気付いてないネタあるのかもね)。
さらに全体的な話としてもう一つ。この作品、リアルタイムで進行というのもあるんですが、ほとんどのシーンがホテルの中で展開されると言う事もあってか、私、なんか途中からホテルの中にいるような錯覚を覚えながら観てました。上映時間は2時間強なんですが、一晩泊まった気分*1。ひょっとしたら忙しくて旅行に行けない時に良いのか、この映画は。
ひとつ残念だったのは、パンフレットが売りきれだった事。これだけの映画だから、あとから人物の相関とか観ながら思い出したかったのに。仕方ない、今度別の映画観た時にでも、シネコンにして買うかな。というわけで、各キャラへの感想はその時にでも。ちなみに、一番好きだったのは、素になってしゃべってる時のYouさんね。あそこだけ、Youさんのまんまだし(いや、フツーにYouさんの素のしゃべりが好きなんです、私)。

*1:ま、24時ちょい過ぎまでの話だしね。本当に泊まっててもあとは寝るだけの時間まで展開してるから、泊まった気分になれるのかな