本多孝好『MISSING』

この人の本を最初に手に取ったのは先々週くらいで、前に書いた『マレー半島…』と同じ日に買っていたんですが、書店で新刊&過去の著作までひっくるめて平積みになっていまして、その新刊の背表紙の紹介文で“なんとなく読んでみようかな”と思ったのがきっかけでした。ってな事で買っておいたら、同じような時期に同じようなきっかけで買ってる人がいたんでちょっとびっくりした。同じ店だったりして…。ま、ただまげまげさんと違って、その新刊でなく旧作の方を手にとっているあたり、ちょっと私のほうがひねくれてるのでしょうか。
短編5本をまとめた1冊。2000年のこのミス10位という振れ込みになっているため、ミステリーの短編集を期待したのですが、なんか事件らしい事件が起きて“ミステリー”って感じなのは、最初の『眠りの海』くらいかな。全般的に、感情の起伏の少ない主人公が、大事件とは言えない中事件くらいの中にいて、淡々と進むストーリーにちょっと怖い想像を誘うような感じの話が特徴みたい。なんとなく根底にあるものは乙一に通じる部分もありそうだが、多分、乙一が深夜放送も聴かず、それこそ“伊集院光はたまにバラエティに賑やかしで出ている微笑みデブ”くらいに思いながら、何不自由ない家庭で、なお且つそれなりにモテながら成長したらこういう作風になるのかな、という感じ。
そして、決定的に違うのは、話の中の会話であったり文体であったりの端々に、なんかおしゃれ臭がする事。ひと昔前のトレンディドラマでカンチにまぐわいを要求していた類の方々がオープンカフェスーパーカーで乗りつけてしているような会話*1が続くもんで、どうもそう言う会話をした事ない私が読むと、う〜んわからない…となってしまう事も。『瑠璃』なんて話には妄想広がるちょいエロなんかも入ってたりするんですけど、その辺さらっとかかれちゃうと“これはD.Tを1本釣りするための疑似餌か?”などと勘ぐってしまったり。
ま、とりあえず、会話中心でストーリーが展開するので、忙しい中でもあっという間に読み終える事ができる本でした。

*1:意味不明…