泡坂妻夫『生者と死者―酩探偵ヨギガンジーの透視術』
以前に読んだ『しあわせの書』に続いてのヨギ・ガンジーを主人公とするシリーズ第3弾。で、さらに『しあわせの書』に続いて、本自体にもトリックが仕掛けられている書籍。ま、こっちのトリックは別にネタバレしても問題ないもので、まず本全体が14ページずつくらい袋とじにされていて、それを切らずに(要は14ページずつ飛ばして)読むと、ちょっとした不思議ショートストーリーとして読める。それを切り離してフツーに読んでいくと長編小説となり、さっき読んだ短編小説の部分々々が含まれているにもかかわらず、今度は全く違った内容のモノとして読めるというもの。
ま、このアイデアを成功させたという部分も評価しなければいけないものなので、短編のストーリーの始まり方が唐突だったり、長編にページあわせのための無駄な描写が所々見られるのはまぁ目をつぶりましょう。で、短編がいかに消えていくかというところですが、これも結構簡単なトリックで、長編を1〜2ページ読み進めたところで“なるほど、この仕組みで別のストーリーにしてしまおうという魂胆か”という事がわかりニヤリとしてしまう。そんな本自体のトリックに加えて、ストーリーでも細かな“エセ超能力トリック”がちりばめられていて、その都度面白い。個人的にこういうの好きだってのもあるかもしれませんけどね(ドラマ『TRICK』フリークだし)。長編のメイントリックは、実はミステリとかだと“禁じ手”ではないかという人もいるかもなモノだが、これも『TRICK』でもネタとして入ってた奴だし、さらっと流せるところだったかな、と。うん、話だけを見ると駄作という評価もネット上では見かけますが、私的にはOKな話でした。
ただ、一つ問題点。この本って既に絶版になっている様で、新刊ではまず手に入らないんです。となると、読むためには古書店か図書館かって事になるのでしょうが、すると既に袋とじが開けられているんです。ということはですね、どこが短編小説部分なのかがわからないんですよ、もう。私は図書館から借りてきたんですが、それで唖然としてしまいました(袋とじの切り口とかでわかるかなぁと思っていたんですが、なぜか全ページに切り跡があって判別できなかった)。なんとか、ネットで検索して、どこが短編部分かを解説したページを見つけたので良かったものの、これ復刊しないのならホームページでフォローするとかないんでしょうか、新潮文庫さん*1。
俺内ランキング(2005.11.9現在)
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