秋庭俊『帝都東京・隠された地下網の秘密』

交渉人 真下正義』でちょっと地下鉄の脇線の話とかに興味をもって、また『秘密基地マニアックス』を読んでたま〜に来る地下ブームが来てたりで、地下の謎系のサイトとかを見漁ったりしていた流れで読んでしまいました。あの、念のために言っときますけど、ちゃんと“トンデモ”だってわかった上で見てますからね。さすがにそんなに純粋真っ直ぐ君じゃないんで。その辺はかなり斜めに見てますけど。
確かに、この本で提示されている、国会議事堂前駅で千代田線と丸の内線が交差している地図と交差しない地図があるという謎。銀座線、都営浅草線都営大江戸線が銀座付近で不自然な接近の仕方をしている点。メートルで計算されている丸の内線のカーブに不自然にマイルで計算されたとしか思えないカーブが混じっている点などは、かなりな謎である。でも、それが全部、秋庭俊が言っているように戦前の軍事目的で作られた地下網を地下鉄に利用しているという結論になるかというとそれは極論なんじゃないかという感じ。結論ありきで証拠を集めて来て、そのほかの説はいっさい無視で突き進むとここまで持ってけるぞという良い見本。
以前に豆知識予備校だったかウソチクだったかよく覚えてないけど、地図は他社に流用されない様にわざと問題の無い誤りを入れておいて、他社が盗用した場合には指摘出来る様になっているというネタがあったけど、例えばそんなものだと考えた方がまだ簡単だし現実的ではあるんじゃないかと思ってるんだけどね。ただ、こういうのは“そうなんだ”と考えて読んだ方が面白い。宇宙人ネタなんかもNASAが何か隠してる、政府の陰謀が隠されている方が面白いようなもんで、本当に当時の軍が、政府が、行政がそこまで裏で考えて地下網を作っていたと、今でも地下鉄はその謎をひた隠しにするために建設されていると考えて読むと秘密基地とか悪者の企みとかに興奮するガキんちょ魂をゆさぶる話でした。
そういえば丸の内線の西新宿駅は、たしかに開業する何年も前から路線図には駅名を記す丸印と駅名を書くスペースが用意されていたし、ずっと前から駅はあったんだろうと思うけどね。でも、あれも何か意図があったわけじゃなくって、単に短い区間に駅を作っても意味が無かったものを、大江戸線が出来る見込みになったことなどで採算が取れる見込みになったんで開業したって方が簡単に考えられはするかな。