『容疑者 室井慎次』

ようやく観てきました。もう公開してから1ヶ月くらい経ってるんでしょうか。ん?でもまだ1ヶ月ちょっとか。そのわりには、既にレイトショーだけになってたな、私が行ったシネコンは。まぁ、確かにこれまでの“踊る”シリーズとは毛色が違う、ギャグが少ないといった前評判も出てましたから、OD2を観た人がみんな観るわけではないのかな。で、観た感想としては、これはやはり“踊る”シリーズの作品ではないと。でも、室井慎次というキャラクターでないと成立しない話で、その説明をつけるとプラス2時間くらいかかっちゃうので、踊るのスピンオフなのね、と言う感じで、これまでのシリーズとは違った類の感動を感じた作品でした。ま、踊るの流れを汲んで作ると、おそらく警察庁と警視庁の対立の部分だけに終始してしまったであろうところを、事件の当事者にして検察や弁護士との対立を絡めた事で違う雰囲気を作る事に成功したんでしょうね。
もちろん、笑いやこれまでのシリーズとのリンクの部分が全く無いわけではないんですけどね。ただ、スリーアミーゴスが出てくるシーンなんかは、その笑いの部分を一手に担って作られたシーンなのかなと思って観ていたのですが、最後の“和久さんも心配してます”の一言を聴いてちょっとふるえた。このセリフのために作ったシーンなのね。なるほど。その直前の“真下と雪乃の結婚の話をそんなに簡単に発表しちゃっていいの?”の感情がすっかり飛んじゃいました。そういえば『交渉人 真下正義』の犯人の謎が今回明かされるかという件については、全く進展なかったですね。でも、あの犯人がまだ生きているのを示唆するような小道具があった様だし生きていたって事か。
なんか、踊るのシリーズはこうしたリンクや裏設定があったりするから、ついパンフレットとかも買ってしまう。ただ、沖田管理官と灰島弁護士。最後の“坊や”みたいなセリフからして、絶対以前からの知り合いだという裏設定があるものと思っていたんだけど、その辺どこにも書いてないですね。でも、プロフィール上はおそらく東大法学部の1コ違いなんですよね。絶対そういう設定だと思うんだけど…。
あとは、新宿のシーン。観る前にちょっとパンフレットを観ていたので、あのシーンがセットだったと言う事をわかった上で観ていたのですが、知らなかったら気付かなかったかも。わかってみてると微妙な違いがあったりもするんだけど、そこはデフォルメして新宿を強調するために作ってる部分だったりだと思うので*1。歌舞伎町の方は敢えて妖しげでオリエンタルな雰囲気にするために変えてあったしね。新宿北署の湾岸署とは対照的なレトロでアウトローな様相もかなり良し*2。ただ、歌舞伎町の背景にイトーヨーカドーってのだけは違和感あったかな。新宿東口のシーンもビルの上の方の部分は合成で作ってたみたいだし、それこそ画像処理でカエル急便のビルとかに出来なかったのかなぁ。ま、全体的に室井慎次ってキャラクターを予習してから観るのであれば、むしろいままで『踊る大捜査線』を観たことの無い人にも楽しめる映画だったのではないのかな、と。

*1:レインボーブリッジもわざとホンモノでない事がわかるようなシーンを残していたようなスタッフだからね

*2:所轄の月間検挙率ではワースト1位、2位らしいけど