若竹七海『依頼人は死んだ』

スクランブル』に続いて買ってみた若竹七海の著作。とはいっても、評判を聞いてこれを選んだとかではなく、ブックオフで100円で売ってたからなんですけどね。
これも連作短編ではありますが、とは言っても定期的に連載されていたものではなく、かなり長い期間にわたってあちこちに書かれた契約探偵の葉村晶が主人公の8作の短編に、書き下ろし1本を加えた9編の短編集である。ま、探偵モノとは言っても、そんなに大きな“連続殺人事件”とかを扱うわけではなく、自殺の真相とかを探る依頼とかが中心となっている。
で、この本を読んでいっての正直な感想は“後味の悪い話を書こうと思ったら何にも起きない話を書けばいいのか”と言うこと。家族や知人が自殺する。しかし、この背景にはものすごい陰謀があったり実は殺人であったりという真相があったりするのではないか、と思い探偵に依頼すると、二転三転の調査の結果やはり自殺であったと言うことがわかる。依頼人の妄想や自己弁護のための依頼だった、という話は、結果何も起きていない単なる自殺なんだけど読後にものすご〜い、後味の悪さと薄らさむさを感じます。一風変わった、若竹七海風のホラーと言ってもいいかもしれない。そんな感じの話が多かったりします。
そしてこの短編、姉の自殺であったり、友人の不可解な死であったりと言う事でうす〜く繋がってはいるものの、基本的にはそれぞれ独立した話。ところが、最後に加えた書き下ろしの1本でいきなり全ての話がつながってしまいます。それも最大級の後味の悪さで。7年に渡って書かれた話なので、最初から繋げる事を考えて書いてる事はまず無いんでしょうが、それをまとめてしまったところにはやられました。ちなみに、この葉村晶という主人公は、『プレゼント』という前作があり、さらに『悪いうさぎ』と言う本に繋がるキャラのようなんですが、こういう終わり方しちゃって後に続けるのか?と思えるようなラストの展開。また続き読まなくちゃいけなくなっちゃったじゃ〜ん(良いことなんですけどね)。
余談ですが今回私、文庫で読んだんですが、巻末に某新聞記者による解説が載っています。で、この解説がですね、ど〜も本編を読まないで書いてる気がしてしまうのは私だけでしょうか。せいぜい1本くらいを読んであとはあらすじだけ聞いて書いてる感じ。ん?という箇所が何箇所かあります。


俺内ランキング(2005.7.14現在)

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