鴻上尚史『“祖国なき独立戦争”を楽しむために』

ちょこっとずつ気が向いた時に読んでいたモノを読了しました。『SPA!』で連載されている『ドンキホーテのピアス』の昨年9月までの分を単行本したものですね。鴻上さんのエッセイを読むといろいろな方向に興味の方向が広がってしまう。これは、別に困っているわけで無く嬉しい悲鳴。今回も読まなきゃと言う感じの本や観たい映画が2〜3本出来てしまった。ま、それがこの先良い出会いとなり、俺内ランキングに入るようになれば幸せな事だと。ちなみに、今回書かれている鴻上さん関連の舞台に関してはほぼ観ていたので問題無し。なるほど、あの頃舞台裏ではこうなっていたのかと言う感じで読めました。
ただ一つ、旗島伸子さんが女優を辞めてしまったのを知ったのはショックだった。あれだけ、鴻上演出の舞台で良い役をもらいつづけていたのに、最近見ないなぁと思っていたら。本の中では具体的な名前は挙げられていませんが、まぁそうですよね。かなりファンだったのでがっかりです(っていうか、リアルタイムでSPA読んでれば1年前に知ってるはずの事を今更何言ってるんだって感じですが)。
まぁ、いろいろ感心させられる部分も共感できる部分もあったんですが、私的にこれ言いたかったんだけど鴻上さんが言ってくれて免罪符になったってのがですね“『半落ち』の結末にみんな納得してるの?最後の最後まで、ものすごく面白かったのに、結末でこれでいいのかー!?”っていうトコですね*1。そうそう、すごい売れちゃって、評価されちゃってるんで“俺がおかしいのかな?”と思ってなかなか言えなかったんだけど、鴻上さんも同じに考えてたというので安心。そう、あのオチにはすごい拍子抜けしたんですよね、私も。結末に事実誤認があると言うことで文学賞が獲れなかったと言う事で話題になりましたが、実はあれって“これで良いの?っていう結末なんだけど、横山秀夫がコレだけの大作書いてきちゃったから落とせないよなぁ。どうしよっかなぁ”と思った審査員の苦肉の策だったのでは、という説を唱えとります、私は。
話しはそれましたが、そんな感じでいろいろ楽しみながら読ませていただきました。ちなみに、時代を読む眼も健在で、今年になってクールビズの象徴として小泉総理が選んだかりゆしファッションを、ちょっと違った形ですが1年前に予言してたりします。うん。

*1:実際は、映画『ミスティック・リバー』について言及している部分なんですが、その後半で『半落ち』を読んだ時の感情に似ているとして、こう書いています。ちなみに、書き方がかなり口語的なのでちょっとはしょってます