倉阪鬼一郎『42.195 〜すべては始めから不可能だった〜』

基本的に、タイトルが数字って事で書店の本棚で目立つんで、前から気になっていたんですけどね。先日、喫茶店でランチ&軽く時間をつぶそうって時に娯楽アイテムが無かったんで、近くの書店で買って読み始めました。
無名のマラソンランナーの長男が誘拐された。犯人の要求は“マラソンで2時間12分を切ること”。マラソンレースと平行して推理が進むって展開で、コレは面白いかな?これはきっと2時間12分のゴールと同時に事件が解決する感じだろうから、よし、こっちも2時間12分で一気に読んだろか。ってな感じで読み始めたんですが、あっさり66ページでマラソンが終わっちゃった時点で“あらっ?”って感じでした。で、ほかにも不満は幾つかあってね。“この作者はマラソンが好きなんだろうなぁ”ってくらいの細かなマラソン描写とか*1、途中で作者が出てきて時々ヒントを与える展開とか、あまりにも共犯者が多すぎる展開とかね*2。ただ、後半でもう一つマラソンが行われるんですが、こっちの女子マラソンの、オリンピックの選考がかかったトップランナーに受信機をつけてレース中に犯人からの不可解な指示を受けながら走るという展開はかなり面白かったです。ホントにこっちのマラソンだけで一つの話にしてくれれば良かったのに、ってな感じでした。
で、この女子マラソンと事件のとりあえずの解決後、最後の最後に大オチがあるんですが。・・・はぁ。フツーでしたら10人に9人が本を投げつける展開かもしれませんが、そこまでイッちゃったら、まぁアリですわ、私は。そういうことですかい。

*1:全く架空のランナーたちのしかも本編とあまり関連のないマラソン小説って結構飽きますね

*2:ちなみに、これは話の前半で作者本人が明言しますのでネタばらしではないです