森博嗣『冷たい密室と博士たち』

前回読んだ『殺人方程式』が不完全燃焼だったので、もうちっとキャラが立ったキャラモノミステリ(?)をと思ったところ、お、うちの“買ったものの読んでない本”であるじゃん。ということで、S&Mシリーズで、買った後になんか俺内ブームが去ってしまって挫折していたこの本に着手(ちなみに、刊行順に読んでってたわけじゃなくって、BOOK OFFで見つけた順に読んでいたんで。さすがに2冊目で挫折はしません。。。)。
ま、さすがに『F』ほどの荒唐無稽なトリックはそう幾つも続かないだろう、とその辺は期待していなかったんで、その意味では“意外と有り得る建物”と“正統派ミステリ的な展開”で楽しめました。私的には萌絵ってキャラクターは、まぁどうでもよくって、犀川の理詰めで事件を解明していく点が好きなんで、そう言う意味では今回は最初の事件の当事者ではあるものの、その後はほとんど自分では動かず脳内の仮説検証で解決していく安楽椅子探偵っぷりが特出していて良かったです。
ちなみに、理系ミステリってそういう事なんですよね。仮説をつぶしていく事で解決していく展開と、頭のページの密室の見取り図と見比べて読ませる感じと。たまに、舞台設定やコンピュータ用語を取り上げてそういう人もいますけど、文系の私でも現在のネット事情に置き換えて脳内補完していけば理解できる部分も多々あって、そう言う意味では今になって読んだのはよかったのかも。
ただ、やはりそういう理系の研究施設ってのが一般的には身近でない人が多いんで、リアルにするためにデニーズが出て来たりするのかな?でも、自動ドアのデニーズってリアルには無いよねぇ。今は知らないけど、少なくともこの頃は無かったはず(名古屋でも)。N大の近くにはデニーズ無いのかな。などと、文系で当時“デニーズの店舗戦略”で論文(レポート程度)を書いていた私は、むしろココが違和感でした*1
そう言えば、普段のこのシリーズは、煙草を不必要に持ち上げる描写が気になる事が多いのですが、今回は犀川の“スイカが好きになれない”という所で相殺。私も、スイカはどうも苦手なんで。

*1:デニーズの店舗って、全店舗合理的な3〜4パターンかのどれかになってるはずで、その中で自動ドアって無かったはず。うろおぼえ。