綾辻行人『殺人方程式‐切断された死体の問題‐』

で、おととい風邪をひいた原因なんですけど、木曜日に3駅ほど寝過ごしてしまいまして、それが終電だったために折り返しの電車が無かったんですね。“ま、タクシーで帰るか”と思い、駅を出るとなんとタクシー待ちの列が少なく見ても150人以上(正確には駅を出ていない。駅の階段を登った改札の前が列の最後だった)。木曜日と言えば関東にしてはかなり雪が降ったあの日ですよ。一応屋根はありましたが、雪が吹き込んでくる中2時間突っ立ってりゃ、そりゃ風邪ひきますわ。そんな時持っていた、唯一気を紛らわす事が出来るアイテムがこの本でした。
ま、ちょっと前に暇だった時に本屋に平積みになってて“まだ読んだことない”ってんで買ってた本だったんですけどね。そんな深刻な状況とは裏腹に、かなりライトなミステリーでした。使われてるトリックも“小学〇年生の付録の推理ブックかよ!”みたいなのもありましたし。ま、刑事が事件を自宅に持ちかえってそれを家族が解く、という展開は、ガキの頃読んでた「少年たんていブラウン」みたいでほのぼのしてしまいましたが。そういうキャラものでシリーズ化を狙ってたのかな?(一応「2」が出てますね)
ただ一つ、(詳しくは欄外に脚注として出しますが)『踊る大捜査線』以前で“あの考え方”*1をストーリーに盛り込んだのって、当時(最初に発表されたのは1989年)としては結構珍しかったんじゃないかなぁ(『こち亀』の初期にあった気もするけど…)。ええ。一つ前に読んだ『犯人に告ぐ』に続いて、この本も私の家から行けるあたりが舞台になっていて、その『犯人に告ぐ』でも偶然“あの考え方”による警察内でのいざこざがあったんですが、それがこの本と同じ場所なんですね。
ま、はっきり言っちゃうと東京都町田市なんですけど。ここって地図で見るとわかるんですが、あきらかに神奈川県にいれちゃった方がしっくりくる地形なんですよねぇ。私の仕事でも、町田が東京なおかげで面倒な事があったりしてるんですけど、この面倒さがミステリのストーリー作りには便利だったとは、ちょっと発見でした。

*1:警察署同士の管轄の境での縄張り争いの事