矢野龍王『左90度に黒の三角』

いわゆるデスゲームモノの話なんですが。それ系だと個人的には(世間的にも…だと思うけど)最高峰は『クリムゾンの迷宮』で。あと定番の『バト・ロワ』も好きなんですが。その辺の熱が、去年『インシテミル』を読んだあたりで再燃して*1、で、勢いで何冊か買ったまますぐ冷めて積読になってた1冊です。いや、なんとなくamazonでいい評判をみた記憶があったんですよね、この本。そのタイトルをブックオフの100円コーナーで見ちゃったんで、手にとっちゃった感じで。
で、読んだんですけど。…うーん。こういうのって“そもそも殺し合いをさせられる連中が、なんでそこに集められたのか、自分がどうしてそこにいるのかがわからない。でも、気づいたらこのメンバーと逃げられない状況に置かれている”的なものが多いのですが、そこに理由づけしようとした努力は買いますよ。でも、ゲームマスターが超能力一家で、その念動力みたいなので無理やり集めちゃだめでしょ。その上で“この一家で起こった殺人事件の謎を解け”って言われても、いやだって、お前ら超能力使えるんだから誰だって殺せるじゃん!ってな感じで、ゲーム成立しないから。
おまけに、タイトルにもある“左90度に黒の三角”の謎が最後に解け、これがオチ的になってるんですが、そもそも本編であまりこの“左90度に黒の三角”という謎がフューチャーされてないんですよね。ストーリーの余談的に1〜2回でてくるくらいで。もう、この言葉の謎を解くことで世界のすべてが解決するくらいに煽った上で脱力系のオチもってくればその落差でむしろ“そう来るか!”ってことになるのだろうけど、この程度で最後にオチを持ってこられても、“あ、そういえばこんなタイトルだったね、この本”ってなるくらいなんですが。
うーん、途中わりと期待できる展開もあったんで、残念っちゃ残念な作品でした。ってか、この人の、最初の『極限推理コロシアム』以降、全く当たりないかも。そろそろ学習しろ!俺。おまけにamazonみても全然評価高くないし。何をみてこの本“評判いい”って思いこんでたんだ?俺…。

*1:この辺の評価は後日思い出し書きします