中島らも『ガダラの豚〈2〉』
引き続き文庫2巻目に突入。ってか、3巻それぞれが場面が違って独立しても読めるものの、ストーリーが続いているのはわかっていて(だから3巻まとめて買ってきたんだけど)、元々単行本のときは1冊だったってのは今頃知った。いや、ネタバレとか怖いんであんまり調べたりとかしなかったんで。
で、元のストーリーでは中盤となるこの2巻では、いよいよアフリカに向かい呪術師たちと逢う。でも、1巻で活躍したミスターミラクルは行かないのね。トリックを暴く展開となるとこの人が必要なんだけど、ってことは本来の主人公である民俗学者の大生部が中心となるので、むしろ“呪術”ふしぎ!な方向に行くのかと思いきや、最終的な敵となる大呪術師バキリは村の人間が“呪い”だと怖れていることを情報や財力の後ろ盾を受けた機械的な仕掛けであることを自ら暴露する。アフリカが未開の地であるというイメージになってる日本人読者の我々は*1、またここで“トリックとは元々バカみたいなものなんだ”という事を思い知らされてしまう。…んだけど、ところが読んでいくとそれだけに留まらず、“でもそれだけじゃ説明できないよね、やはり呪いが…”という気になってきて、むしろのろいの存在に信憑性が出てきてしまう。とんでもない二重構造。それこそオウム事件とかより前に書かれた話だし“神がかり的な力を持った人間が実はトリック”ってだけで十分お腹一杯なのに、さらに上行くか。すばらしいです。3巻も一気に読みそ。
俺内ランキング(2006.8.23現在)
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