乙一『死にぞこないの青』

基本的に『暗いところで待ち合わせ』を手放しで大絶賛の私としては、同じ幻冬舎文庫からの出版という事で立て続けに買ってはいたのですが、とにかく“重い”という前評判を聞いていたことから、躊躇してしまっていた。乙一の重い話は本当に重くて、以前に『さみしさの周波数』に収録されている『失はれた物語』で打ちひしがれた事があったため、どうも読めずにいたのです。じゃ、今はそれに耐えられる気分なの?というとそうでもないんですけどね。なんとなく読んでしまいました。
やはり重かった…。人に話し掛ける事、活発に振舞う事に怖さを覚えるタイプの小学生・マサオが、ある日を境に先生を含めるクラス中の皆から孤立していく。そんな逃げ場のない状態のなか、彼だけに死にぞこないの青い少年・アオが見えるようになってきた。そのアオと会話をするようになってマサオは…という話。小学校の描写は、何十年も世代が違いさえしなければ誰もが自分の幼少の頃に置きかえられるようなストーリー。それだけに、もしあの頃、自分がこの様に逃げ場のない状況に追いこまれてしまったら、という“想い出破壊”的な怖さがじわじわ。
いや、もちろん小学生の時に勉強も出来、いつもリレーの選手(ちなみに、小学生の頃のスポーツが出きる奴の基準って、なぜかリレーの選手だよね。なんでだったんだろう)で、クラスの人気者でしたって人が見ると印象は違うのかもしれないけどね。かく言う私は、小学生時代は人気者とかおとなしい奴とか各方面にいい顔して、上手く世渡りして生きていた“金のないスネ夫”的な立場だったんですが、人に話し掛ける怖さはわかるので、思いっきり怖い方向に感情移入出来ましたよ。あ、もちろんそういうじわじわもありますが、アオのルックスの描写とか、直接的なホラー部分もあります(それだけに、これを映像化しちゃうと、すごい安っぽいホラー映画になりそうでそれだけは勘弁*1)。
ちなみに、私は乙一氏より少し年上なんで若干世代のズレはかんじるのですが(ビックリマンチョコの描写とか。私の頃のビックリマンはまじゃりんこシールだったんで…)、コロコロコミックの話だったりドラクエの話だったりっていう文化的に懐かしい話題とかがちょこちょこ挟まれており、またクラス内でのエピソードなんかでも、伊集院ラジオが好きな乙一氏ですから私とも近い視点で小学生世界を眺めている感じがして、その都度小学生時代に戻りながら読んでおりました。アオの顔の描写以外は面白かったです(私、心理的なホラーは大好きなんですが、体を痛めつける直接的なホラー描写はダメなんです…)。


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*1:ま、あのドラマに非難の声が殺到しているくらいだから映像化は出来ないだろうけどね。エンディングテーマで必至にフォローしているあのドラマ。見てないけど…