『恋はデジャ・ブ』
先日『13人目の探偵士』を読んだ事で『七回死んだ男』を思い出し、さらにそのアイデア元になった『恋はデジャ・ブ』って映画は見た事無いなぁって思ってたところ、レンタル屋の100円セールでみつけてしまったので借りてしまいました。『七回死んだ男』の“反復落とし穴*1”は主人公がこの繰り返しが7回で終わる(次の日になる)事を自覚しているので、7回目には最善の方法をとろうと試行錯誤を繰り返すのですが、映画の方はこの1日の繰り返しがいつ終わるのかもわからない(終わらないかもしれない)と言うところで、同じテーマでもかなり違った扱いのストーリーでした。
まず、この男、自分が同じ1日を繰り返してしまう“時間の迷路”にはまってしまったという事をかなり早い段階で自覚します(2〜3回目の1日で)。客観的に考えると“そんな早くに、こんな不可思議な状況を受け入れられるものだろうか”と思ってしまうのだが。一応2〜3回目と言う事で50時間くらいはその状況を過ごしているので理解できるものだろうか。それとも、コメディ映画なのでそこは流すとこか…。
ま、それは置いといて、それを自覚するとこの男、まずは目先の楽しみの為に利用する(1日かけて女性の情報を集め、次の1日で初めて会ったように装い口説く、みたいな)のですが、その虚しさにも気付くと、次に本命の女性へアタックするようになります。で、そのアプローチが少しでも失敗すると、翌日はそこまでを同じ行動をして失敗した選択肢だけを変えていく、みたいな感じで、気の遠くなるような作業を繰り返し、彼女と完璧な1日を過ごそうとする。ところが、これって仮に彼女を口説き落とせたとしても、1日が終わるとまた前日に戻って彼女の気持ちもリセットされてしまうわけで。で、そうなると“どうすれば明日になるのか”を考えそうなもんなんですが、この主人公はそれを考えることなく(ま、そうすれば良いってのがあるわけでもないので)、延々と自分を磨きつづけて最善の1日を過ごそうと繰り返す。なんか『火の鳥』で生と死を繰り返している男の虚しさみに似た感じで、コメディ映画なのに、非常に切ないなぁと感じてしまいました。『七回死んだ男』の方はミステリーにもかかわらず、どこかコミカルな印象も残ったんですが、真逆!
俺内ランキング(2005.5.2現在)